サテンとシルクの違いとは?生地の特徴や取り扱い時の注意点を解説

サテンとシルクの違いとは?生地の特徴や取り扱い時の注意点を解説

 

高級感のある光沢とつるつるした触り心地から、サテンとシルクは混同されがちです。シルクといえば肌に優しい素材で、機能性にも優れています。だからといって、サテンに同じような効果が期待できるとは限りません。

そこで今回は、サテンとシルクの違いについて詳しく説明します。

目次


サテンとは

サテンとは、「朱子・繻子(しゅす)」という織り方で織った織り物のこと。平織り(ひらおり)、綾織り(あやおり)とともに三原組織と呼ばれ、最も基本的な織り方の一つです。

タテ糸もしくはヨコ糸のどちらかが表面に長く浮いていて、一方の糸だけで織られているように見えるほど生地の表面が滑らか。朱子織りの発祥の地は中国で、素材には主にシルクが使用されていました。

 

その後、アラビアを経由してイタリアに渡り、ヨーロッパ各地へと広がっていきました。日本には1500年代後半、江戸時代の初期にオランダ・中国から京都に伝来したと言われています。

サテンの特徴

サテン生地の特徴は、以下の通りです。

 

・光沢がある

・肌触りが滑らか

・吸湿性

・吸水性が低い

・耐久性が低い

 

 同じ原料を使用しても朱子織りで織った生地は滑らかで引っかかりが少なく、つるつるとした触り心地に仕上がります。構造上、吸湿性・吸水性が低いというデメリットはありますが、素材によって欠点を補うことは可能です。

ただし、摩擦や熱に弱く、非常にデリケートなため、丁寧に扱う必要があります。

シルクとは



 

シルクとは蚕の繭を原料として作られる天然繊維で、日本では絹とも呼ばれています。水や熱に弱く、虫にも食われやすいという欠点はあるものの、それ以上にメリットが多いことから、たくさんの人々に愛されている素材です。

 

シルク発祥の地は紀元前の中国で、シルクロードを通じて世界中に輸出されました。日本に伝わってきた時期は定かではありませんが、シルクロードができる以前の弥生時代の遺跡から平織の絹織物が出土されています。したがって、弥生時代には養蚕の技術が日本に伝わっていたと考えられます。 

シルクの特徴 

シルクの特徴は、以下の通りです。

・光沢がある
・肌触りが滑らか
・軽くて柔らかい
・低刺激
・帯電しにくい
・吸湿性
・保温性が高い
・熱伝導率が低い
・紫外線を吸収する

繭には外敵や紫外線から蚕の命を守り、快適な住環境を保つ機能が備わっています。そんな繭から作られるシルクには暑さや寒さに影響されにくいという特徴があり、年間通して使用できる素材です。

しかも、シルクは天然のタンパク質で作られていて、肌に優しいことも知られています。軽くて柔らかく、手触りも良いため、パジャマや寝具の素材としても人気です。

一方で、水に弱くシミができやすい、紫外線にあたると変色するなどのデメリットもありますが、正しくお手入れをしていれば末永く楽しめます。

 サテンとシルクの違い



 

サテンはあくまでも織り方の名称であって、使用する素材の種類は問いません。一方、シルクは生地の素材の名称で、動物由来の天然繊維です。

サテンとシルクが間違われやすいのは、光沢と肌触りが似ているからでしょう。よほど詳しい人でない限り、生地を見たり触ったりしただけで素材を特定することは難しいかもしれません。

サテンに使用される素材

サテンには、以下のような素材が使われています。

 

【天然繊維】

・シルク(絹)

・コットン(綿)

 

【化学繊維】

・ポリエステル

・ナイロン

・ポリウレタン

・キュプラ

・アセテート

 

元来、サテンはシルクで織られた織物を指していましたが、現在ではシルク以外のサテンも多く流通しています。シルクが用いられているサテンは「シルクサテン」と呼ばれ、綿の糸を使って朱子織りで織られた織物は「綿朱子」などとも呼ばれています。

 

サテンに使われている素材は、もちろん天然繊維だけではありません。ポリエステルやナイロンなどの合成繊維をはじめ、再生繊維のキュプラ、半合成繊維のアセテートなど、化学繊維で織られた化繊サテンも流通しています。

なかでも、ポリエステルサテンはペットボトルと同じ原料で、吸湿性が低いというデメリットがあります。汗をかいても皮膚に残りやすいため、肌が弱いと強い刺激を感じるかもしれません。

サテン生地の用途

 

サテン生地は高級品から日用品まで、様々なアイテムに用いられています。

 

・ウェディングドレスやイブニングドレス

・発表会やコスプレの衣装

・スーツ

・ネクタイ

・シャツ、ブラウス

・スカーフやストール

・下着

・パジャマや寝具

・ジャケットやコートの裏地

・ハンカチ、マスクなどの小物

・室内装飾品

 

サテンはかつて、ベルサイユ宮殿の豪華な家具を覆うために使用されていました。後に上流階級や労働者階級の女性たちのイブニングドレスとして、19世紀にはセクシーなランジェリーとして使われるようになり、21世紀に入ってからアパレル、寝具、室内装飾品と幅広い用途で使用されるようになりました。

 

美しい光沢とドレープ性を備えたサテンは、現在でもパーティで着るようなドレスやフォーマルウェアによく用いられます。手触りが滑らかで着脱しやすいことから、アウターの裏地にも使用されています。

 

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サテン取り扱い時の注意点

 

サテンは非常にデリケートな生地で、強度があまり高くありません。なぜなら、朱子織りはタテ糸かヨコ糸のどちらかが長く浮いていて、交差が少ない織物だからです。

 

交差点が少ないと光沢やなめらかさは増しますが、摩擦に弱く、耐久性が劣ります。引っ張られる力にも弱いため、強い力が加わると生地が裂けてしまうことも。

お洗濯やアイロンをかける際も生地を傷めないよう、取り扱いには十分注意しましょう。

・洗濯の仕方

サテンのお手入れの仕方は、生地によって異なります。衣類や寝具にタグが付いていれば、洗濯表示マークに従ってお手入れしてください。自宅で洗濯が可能な場合でも、そのまま洗濯機に入れるとせっかくのツヤが失われかねません。衣類を裏返したり、洗濯ネットに入れたりして生地を傷めない工夫が必要です。

特に、シルクサテンは手洗いが推奨されています。お洗濯の際はシルク専用洗剤がおしゃれ着用の中性洗剤を使って、優しく洗い上げましょう。

・アイロンのかけ方

サテンは熱に弱いという欠点もあり、シワができてもむやみにアイロンをかけると光沢や肌触りが失われてしまいます。アイロンをかける際は当て布をし、低温に設定したうえで、シワ部分に軽く載せるようにかけるのがポイントです。高温かつ強い力でアイロンを押し付けると生地がテカったり、繊維が溶けたりするので、くれぐれもご注意ください。

サテンとシルクの違いまとめ

 

 

サテンとシルク、似て非なる二つの違いをおさらいしましょう。

 

・サテンは織物の名称で、シルクは生地の素材の名称。

・サテンには様々な素材が用いられているが、シルクはタンパク質でできた動物由来の天然繊維。

・サテンは吸湿性・吸水性が低く、素材によっては季節ごとに使い分けが必要。シルクは吸湿性・保温性に優れた素材で、1年中使用可能。

・化繊サテンの中には肌を刺激するものがあるが、シルクは低刺激性。

 

美しい光沢となめらかな肌触りが特徴のサテンですが、素材によっては肌の弱い人には合わないこともあります。お肌のことを考えるなら、化繊サテンではなく、シルクサテンの使用をおすすめします。

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