シルクってどんな繊維?髪や肌に良い理由

シルクってどんな繊維?髪や肌に良い理由

上品な光沢となめらかな肌触りを持つシルクはあらゆる繊維の中で最も美しく、「繊維の女王」とも呼ばれています。

シルクはドレスに着物と高級衣類には欠かせない繊維ですが、その魅力は見た目や風合いだけに止まりません。機能性にも優れた素材で、髪や肌に良いことも明らかになっています。

シルクはなぜ、髪や肌に良いのでしょうか?
ここでは、その理由を紐解きたいと思います。

 

目次

 

シルクは自然が生み出す奇跡の繊維

シルクが髪や肌に良い理由は、シルクがもつ性質と深く関係しています。

既にご存知の方も多いと思いますが、そもそもシルクとは蚕の繭から採取される天然繊維です。繭というのは蚕が外敵などから身を守るシェルターのようなもので、蚕が吐き出す1本の糸から作られています。


繭から取れる繭糸は自然界唯一の長繊維で、1つの繭玉から採取できる繭糸は1,000~1,500mに及ぶとも言われています。繭糸は非常に細く、複数本の糸を撚り合わせて必要な太さにします。

ただし、繭から紡いだばかりの繭糸には独特の光沢がありません。手触りもゴワゴワしています。シルクの特徴でもある優美な光沢や風合いは絹糸や絹織物をつくる過程で素材の性質によって生み出されるもので、人工的に作れるものでもありません。

シルクはまさに、自然が生み出す奇跡の繊維なのです。 


人の髪や肌に近い成分から成るシルク

 

蚕が作り出すシルクは私たち人間の髪や肌の成分と同じタンパク質からできていて、綿や麻など植物繊維にもない優れた性質を持っています。

蚕は桑の葉などを食べて成長しますが、体内で18種類のアミノ酸を合成し、繊維状のタンパク質にして吐き出します。この18種類のアミノ酸は、人間の体内にあるアミノ酸と同じです。

人の体は約60%が水分で構成されていますが、次に多い成分がタンパク質になります。人の体を形づくるタンパク質は20種類のアミノ酸で構成されていて、そのうち18種類がシルクに含まれるアミノ酸と一致しているのです。
ここまで人の髪や肌に近い成分で構成されている天然繊維は、他にありません。

さらに、シルクは水溶液の性質をあらわすpHも人間の髪や肌と同じ弱酸性です。
そんなシルクは私たちの肌と非常に相性が良いことから、「第二の肌」とも言われています。

 

繭糸を構成する2種類のタンパク質

シルクはタンパク質でできていると申しましたが、もう少し具体的に説明すると、シルクの原料である繭糸は2種類のタンパク質で構成されています。
1つは繭糸の中央にあるフィブロイン、もう1つは外側にあるセリシンです。

 

●シルクの主成分フィブロインとは?

繭糸の70~80%を占めるフィブロインは、繊維状のタンパク質です。

フィブロインはグリシン・アラニン・セリンなど人の髪や肌をつくっているアミノ酸が結合した繊維で、水に溶けにくいといった性質があります。人の肌とほぼ同じ成分でできているフィブロインは生体親和性が高く、手術の縫合糸などにも使用されてきました。

フィブロインの断面は不均一な三角形をしていて、構造も複雑です。フィブロインはフィブリルという細い繊維が集まってできたもので、フィブリルはさらに細いミクロフィブリルが集まってできたものになります。そんな複雑な構造と三角形の断面が光を乱反射させて、独特な光沢を生み出しているのです。

しかも、三角形の繊維が何本も重なり合ってできたシルクの内部には細かい空洞がたくさんあります。ここには空気を蓄えることができるので、暑さや寒さの影響を受けにくく、温度を一定に保つことができます。汗も素早く吸収するので、蒸れることもなく快適です。 

 

●フィブロインを取り囲むセリシンとは?

繊維状のフィブロインのまわりを取り囲むタンパク質は、糊状のセリシンです。

保護膜のようなセリシンには蚕が繭をつくる時にフィブロイン同士を接着させる役割があり、結晶化しにくく、水に溶けやすいといった性質があります。

セリシンが残っていると独特な光沢や風合いが生まれないので、絹や絹織物にする工程においてお湯で溶かして取り除きます。

ただし、セリシンは絹糸製造においては不要な成分であっても肌や髪には有効な成分です。
セリシンには、人の肌にも存在するセリンというアミノ酸が最も多く含まれています。このセリンは保湿性が非常に高く、潤いを保つ働きがあります。

さらに、セリシンには蚕の中の繭を守るために紫外線を吸収する働きもあります。これらの作用に着目し、敢えてセリシンを残留させることもありますが、シルク特有の光沢や風合いを出すためにはセリシンを除去するのが一般的です。

 

シルクという繊維が髪や肌に良い理由

フィブロインからセリシンを取り除くと、艶やかな光沢となめらかな風合いが生まれます。そして、セリシンを取り除いたフィブロインには細かな隙間がたくさんできます。

そんなシルクはなぜ髪や肌に良いのでしょうか?

 

● シルクという繊維が髪に良い理由

シルクが髪に良い理由は、摩擦が起きにくいことと髪を乾燥から守ることにあります。


1) なめらかな肌触り
 

シルクのつるつるとしたなめらかな肌触りは摩擦によるダメージから髪を保護します。

髪の表面にはキューティクルという組織があって髪の内部を守っていますが、髪に摩擦が生じるとキューティクルが剥がれてしまいます。キューティクルが剥がれた髪はツヤが失われてパサつきを感じるようになり、枝毛や切れ毛の原因になることも…。

そんな時に頼りになるのが、シルクです。
摩擦を起こしにくいシルク製のナイトキャップや枕カバーを使うと、寝返りなどによる摩擦を減らすことができます。

2) 乾燥しにくい
シルクには細かな隙間がたくさんあり、水分をよく吸収します。
繊維の中は湿度を適度に保つことができるので、冬でも乾燥しにくい素材です。
髪が乾燥するとパサついたり広がったりしますが、シルクで髪や頭皮を覆えば潤いをキープできます。

髪に潤いがあるとツヤが出て、まとまりも良くなります。

 

●シルクという繊維が肌に良い理由

シルクという繊維が肌に良い理由は、肌への負担が少ないことと肌を快適に保つことにあります。

 

1) 肌に優しい天然繊維
 
人の肌と限りなく近い成分でできているシルクは、素肌に優しい繊維です。

肌との相性が抜群で、肌に馴染みやすく、余計なストレスを与えません。刺激も少ないため、敏感肌の方や赤ちゃんでも身につけることができる繊維です。

化学繊維による痒みやかぶれ、チクチクが気になる方も安心して着用できます。

 

2) 優れた吸湿性と放湿性

天然繊維であるシルクには、綿の1.5倍もの吸湿性があります。
蒸し暑い夏場もジメジメした梅雨時も汗を素早く吸収するからベタつかず、サラッと快適です。

放湿性にも優れたシルクは吸収した汗を繊維の外に放出するので、蒸れる心配もありません。

 

3) 夏は涼しく冬は暖かい

繊維と繊維の間に空気をたくさん含むシルクは

熱伝導率が低いという特徴もあり、気温に影響されません。

吸放湿性だけでなく保温性にも優れているので夏は涼しく冬は暖かく快適な素材です。

 

髪や肌に良いシルク製品とストレスのない日々を。

古より高級繊維として愛されてきたシルクは成分に関する研究が進められる中で、健康や美容に対する意識の高まりも相まって、多彩なシルク製品が次々と誕生しました。

髪に良いシルク製品にはナイトキャップ・枕カバー・ヘアゴム、肌に良いシルク製品には下着・パジャマ・マスク・靴下と様々なアイテムがあります。

皆さまのお悩みに合ったシルク製品と共に、ストレスのない毎日をお過ごしください。

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